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大人の少女漫画好きのマンガ評

犬と人間の青春生活! 世界で一番素敵な関係『まっすぐにいこう。』(きら) 

作者のきら先生はこの作品がデビュー作でしかも連載当初はまだ高校を卒業したばかりだと聞いて、本当に驚いた。「まっすぐにいこう。」はまるでベテランのような面白さだった。
どうしてこんなに素敵な漫画が描けるんだろう。と夢中になって読みふけった学生時代を思い出す。

本作は動物好きには自信を持っておすすめできる、犬と人間が織りなすほのぼの青春ストーリーです。犬好きにはもちろん、猫派の人間ですらこのマメタロウのかわいさにはどっぷりとハマってしまう凶悪ぶり。

本作のヒロインは女子高生の郁子だが、主人公はもう一人いや一匹いる。郁子の飼い犬である雑種犬「マメタロウ」です。
この漫画の大きな特徴は、単なる高校生の青春物語だけではなく、ヒロインの飼い犬の目線から見た人間の恋愛模様を描いている点にあります。

といっても、郁子が犬の言葉をわかるわけではなく、郁子たちから見るとマメタロウは完全なるただの「犬」。(その物悲しさを悟るマメタロウがまたかわいいんだ)

コミックの表紙も独創的。人間と犬が並行して並んでいて傍に手書きの文字で名前が書いているこのデザインが、この作品の雰囲気をよく表しています。人間と犬、どっちも対等な大事な大事な仲間。お互いの世界はあるけど、それが交わってもっと素敵な世界になる。ユニークな人間や犬たちに癒されっぱなしだけど、決して雰囲気だけのゆるキャラ漫画ではありません。話も展開にメリハリがあってちゃんと面白い。そして、普段は爽やかコメディなのに、時には重いテーマを正面から描こうとする真面目さも合わせ持っている。「まっすぐにいこう。」はそんな少女漫画です。

一巻当初の絵はさすがにちょっと雑というか古臭いというか、いかにも昔の別マ風な絵なんだけど、むしろマメタロウやハナコに関しては最初から尋常でないかわいさである。

マメタロウは、郁子に飼われているオスの雑種犬である。郁子の事が大好きで、まるで自分は郁子のナイトのつもり。一番郁子の近くにいたつもりだったのに、最近郁子は同級生秋吉くんに恋をしてしまい、マメタロウは大ショック。
ライバルには負けられないと敵意をむき出しにするが、最後はなんだかんだといって奥手な2人の恋のきっかけ作りをしてあげるのです。ちなみに郁子命なマメタロウだが、ちゃっかり自分も犬の彼女ハナコちゃんがいる。

マメタロウは、割とヘタレだし紀州犬である彼女に対して雑種というコンプレックス丸出しでやけに卑屈だし、嫉妬深いし、人間の男だったら結構めんどくさそうな部類なのですが、これが犬だともう底なしに愛おしすぎる可愛らしさなんです。おバカな子ほどかわいいってね。

なんだかマメの感想ばかりだが、郁子と秋吉くんの内気カップル同士のほのぼのとした恋愛模様も実に面白い。1歩進んで2歩下がるみたいな、初々しい2人の姿はマメタロウに負けず劣らず愛らしい。
そして、郁子&秋吉カップルをいつも見守り時には叱咤する友人カップル直&たけしも非常にいいアクセント。主人公カップルに負けじと人気が高いのもわかります。

たまには重いテーマも扱いながら、作者と一緒に成長し続ける「まっすぐにいこう。」一読者としてゆっくりとその背中を追いかけていきたいものです。

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