全国の元ぴょんぴょん読者にささげる、愛と冒険のファンタジー 『愛の戦士ヘッドロココ』（藤井みどり）
皆さんは「ぴょんぴょん」という雑誌を覚えているでしょうか。
20年程前に小学館から発行され、残念ながらたった４年で「ちゃお」に吸収合併されてしまい、そのため雑誌の存在自体がごく一部の年代までしか知らないという不遇の雑誌です。ターゲットは女子小学生、立ち位置的には女性版「コロコロコミック」といったところでした。
今回ご紹介する「愛の戦士ヘッドロココ」は、タイトルそのままの通り、当時小学生の間で一大ブームを巻き起こした「ビックリマンシール」をモチーフにした漫画です。30歳以上の方ならご存知だろうが、当時のビックリマンは大変な社会現象を巻き起こし、チョコはもちろん、キャラクター達を使った漫画、アニメ、ゲームも大人気。そして、少女漫画風にしたのはおそらくですがこの作品だけです。（画像を見ての通りだが、ヘッドロココが少女漫画風の甘いマスクになっている）
「ビックリマン（笑）」と思いがちだが、なかなかどうして本作品は、ぴょんぴょんのなかでも室山まゆみ等と並んで、看板漫画として人気を博していました。
オリジナルビックリマンの設定に少女漫画風味がプラスされて、はっきり言ったら同人ノリですが、生き生きとした天使と悪魔のラブコメに、多くの小学生が夢中になったのです。
ビックリマンシールの設定は、「悪魔VS天使」です。
この漫画は「天使」のエースであるヘッドロココと「悪魔」のボスの娘であるマリアが恋に落ちてしまい、ロミオとジュリエットのごとく許されない恋を貫くというストーリー。まさにザ･少女漫画！
少女漫画版ヘッドロココはとても優しい。皆に慕われ、強くたくましく、フェミニストで優しくてちょっと天然、それが愛の戦士・ヘッドロココ。天使であるロココはまさに「正義」の象徴らしく、とても優等生なヒーローだ。
一方悪魔のマリアは、ロココとは全く逆の性格。
ロココが好きなのに、つい逆の態度をとってしまったり、なかなか素直になれない。そう、マリアは時代を先駆けたツンデレタイプだった。そして、極度の焼きもち焼きですぐ怒るが、料理が得意という家庭的な一面もある。ロココとその家来の料理を作ってあげたりしていて、結構優しい。
わがままで気が強い性格ながら、色気と母性を持ち合わせているっていうのは、やっぱり彼女が根っからの「悪魔」だからなんだろう。まるで男の理想の天然小悪魔像そのままじゃないか、マリアは。
初めはマリア→ロココという片思いから始まり、ロココもマリアを愛するようになるのですが、肝心の「好きだ」の一言がないために、マリアはロココが自分を好きのに気付かない。むしろライバルをけしかける始末。（かぐやもいい迷惑である）
しかし当の本人のロココは両思いなのがわかっているので、もうカップルになったつもりで、先のことをいろいろと考えている。
この辺もまるで大人の恋愛です(笑) 言葉が足りない男と、察してほしい女。カップルならいつすれ違ってもおかしくない状況ですね。
しかしどんなにすれ違おうが、最終的には愛の一途さに叶うものはなし。
心から愛し合っている２人の未来は明るいのです。
