まずは、中山美穂&唐沢寿明でドラマ化もされた、槇村さとるの90年代代表作のひとつ「おいしい関係」。
裕福な家庭に育ったお嬢様の百恵は、突然の父の死のきっかけに進路に悩むことに。たまたま入ったレストランのスープの味に感動し、その店で働くことになった百恵。しかしシェフの織田とは反発ばかりの毎日で…。
百恵に厳しくあたりながらも一流の味を目指す織田、織田に反発しながらもシェフを目指してひたむきにがんばる百恵。やがて認め合っていく2人。王道だけどまっすぐな登場人物たちの真摯な姿勢は読んでいて気持ちがよく、2人の関係に料理がいいスパイスになっています。
苦労知らずのお嬢様短大生だった百恵が、いつしか一人前のシェフとして女性として成長していくのが見所。
少女向け漫画の中では本格的な料理漫画の先駆けとなった作品ではないでしょうか。料理が大好きな女子高生・芹香が料理を通して友情や恋を育てる、あったかほんわりストーリーです。
彼女の料理の原点は「愛情」。愛情を込めて相手のことを思ってつくる料理やお菓子は、どんなプロの料理よりも美味しい。一貫してブレないこのテーマは少女漫画ならでは。
オムライスにおかゆにプリン、出てくる料理は本当にどれも愛情たっぷりで美味しそう、巻末レシピで頑張って再現された少女達も多いのでは?
なかよし時代のひうらさとるの漫画は、独特の絵柄でホントにかわいらしい。
食べることが大好きな女子中学生のユキオ。学食シェフの父親の影響で転校続きだったが、とうとう家族の念願かなって、次の学校は栄転、学校内に食堂「パラダイスカフェ」を開くことに。そこでユキオはハルという謎の料理上手の男子生徒と出会って…。
美味しいものは人を元気にする!幸せがいっぱいつまった元気印のまさになかよしらしい作品です。
ハルとユキオが出会った時に食べた「天使のオムレツ」はどんな味なのか気になってしょうがない。こちらもレシピつき。
高校3年生の早川律は双子の弟妹、母親との4人暮らし。突然入院することになった母に代わって、律が家族の料理を作り始める。家族で食卓を囲む幸せ、そんな毎日の大切な瞬間を丁寧に描いていた作品です。
早川家の事情はちょっとディープ。お母さんの病気は癌で一時退院するけど再発してしまうし、律は実は養子で本当の親には捨てられた身。そして律は半分血のつながった幼い弟と出会い、彼がひとりきりで毎日ご飯を食べていることも知ってしまう。
そんな複雑な家庭環境の中で淡々と繰り広げられる食卓の風景に、言い尽くせない幸せを感じる。ご飯を一緒に食べることのできる人がいるって当たり前じゃないとても幸福なことなんです。
世界で一番やさしい料理漫画。こちらもレシピ付き。
家族から結婚を急かされているイラストレーターのみすずは、パイロットとなった幼馴染み弘文のプロポーズをうける。やさしい性格の弘文だが、彼は想像を絶する程の大食いな「食欲魔人」だった。
ユーモラスでマイペースな川原テイストで送る、作者の初期の頃の作品集。けしてグルメなわけじゃない、だけど彼らが食べている姿はなんであんなに美味しそうなのか。にじみ出ているじじくささ、それがいいのだ。もぎゅもぎゅもぎゅ。
女の子のこころに残る食事を軸に一話完結でストーリーが展開する、オムニバス方式の漫画。基本的には恋愛や家族関係を通しての女性の成長物語となっています。登場人物が少しづつ連鎖していくのはいい演出ですよね。
丁寧に綴られている日常のエピソードはリアルに共感できるものばかり。身近にある食べ物というテーマをうまく調理していて、短い話でも薄っぺらくありません。こころに染みいる極上の仕上がりの短編集。
食べることが大好きな貧乏育ちの米(マイ)と味覚音痴のお嬢様の和菓子(わかこ)。小学校で同級生だった二人が大人になって再会し、米は和菓子の経営する飲食店で働くことに。和菓子は売上アップを米に命じるが…。 コメディタッチで繰り広げられる料理コメディ。
本当に美味しそうな料理の絵に、ポジティブな主人公。作者は「純情クレイジーフルーツ」の松苗あけみ。作者の突き抜けた明るさがいい味をだしていて、さらりと読めます。
米でマイはともかく、和菓子で「わかこ」と読ませるのはちょっと可愛いと思う。
ある理由から洋菓子店を開業した元商社マンの橘。超一流のパティシエだがゲイの小野を雇い入れ、そこに甘いもの好きの元ボクサー・エイジも加わり、男だらけのケーキ屋となり…。月9でドラマ化もされたよしながふみの有名作品です。
美男ばかりの洋菓子店、それに惹かれない女子がいようものか。魅力的な登場人物達もさることながら話の作り方が際立って上手いので、人間関係の面白さにハマり夢中で先を読みたくなってしまう中毒性があります。
そしてなにより美味しそうなケーキの数々。読んだあとは間違いなく洋菓子店に走り出したくなる作品。
少女漫画ではありませんが、同じ作者の「きのう何食べた?」もおすすめ。
こちらも、松潤主演で月9ドラマ化された人気ヒット作。
爽太は高校時代の想い人サエコに失恋後もずっと片思い中。チョコレート好きな彼女のためにショコラティエになってしまう程。だけどサエコはさっさと結婚してしまい、その後も爽太を振り回す魔性の女。生々しくて苦い大人の恋愛とチョコレートを融合したらこんなに素晴らしい作品になってしまうなんて!
恋は人を動かす力がある。爽太はサエコが好きな味、食感、彼女のイメージ、全ての五感を使って彼女のために一級品のチョコレートを作り続ける。どんな愛の言葉よりも深い愛。こんな愛され方をされて落ちない女がいるのだろうか。
読んだあとは間違いなくチョコレートが食べたくなる作品。ちょっと高級なやつね。