「ママレードボーイ」の吉住渉の出世作でもある「ハンサムな彼女」は、中学生で女優の未央と監督を目指す一哉のラブストーリーです。りぼんで連載されていたので、初めて読んだ芸能界漫画という人も多いのではないでしょうか。
最初の頃は、幼馴染の輝ちゃんが好きだったり、恋のライバルは親友の彩だったり、芸能界モノの割にはやたら身近な世界だったりしますがそこはご愛嬌。
かわいい役が回ってこなくいつも汚れ役ばかりの未央に、一哉は「ハンサムな女性」という表現をする。女優として成長していく未央を中心に、あくまで少女漫画らしい純愛ストーリーが進んでいきます。
少コミからは、御大北川みゆきの芸能界もの。
お元気女子高生・亜未は、たまたま出会った売れっ子アイドルの美堂望に気に入られ、アイドルとしてデビューすることになる。
この作者は本当に女子の煩悩を描くのが上手い。イケメンで性格も良いヒーローに熱烈に求愛されて、これでもかというくらい殺し文句を言われ、自分もアイドルとして大成功!妬みもかうけど、彼がいてくれるから私は負けないYO!みたいな、女子中学生の妄想を恐ろしい程に萌え具現化してくれる、夢いっぱいのストーリーです。
特に一巻ラストの、亜未の鮮烈デビューのくだりはお見事。主人公カップルが好きな人にはハズさない王道ストーリーですね。
主人公の紗南は、子役で活躍する小学生。芸能活動は順調だが、学校の方に問題が。紗南のクラスでは担任いじめが流行っていたのだ。諸悪の根源羽山とは犬猿の仲の紗南だが。
子役の活動シーンも多く、芸能界の子役仲間も登場。たくましくまっすぐな性格の紗南。お元気少女紗南と影のある少年羽山のラブコメディと思いきや、時折展開するシリアスなシーンとの落差がすごい。学級崩壊・傷害事件等の社会問題も。
あまり一般的なテーマではありませんが、90年代のりぼんを代表する人気作品。終始子供視点で描かれているが、大人になってから読み返すと、また別の感情が生まれるかもしれません。
くらもちふさこ作品の中でも、特にクオリティの高い一品。女優2人+俳優2人の、映画で結ばれた奇妙な友情、若き4人が紡ぎだす、創作と現実の新感覚ラブストーリーです。
4人の若手俳優たちが同じメンバーで様々なドラマ・映画を演じていく、[α]シリーズ。劇中劇→現実世界→劇中劇→現実世界…という構成になっていて、現実での俳優たちの心理模様を間にはさんで、それを踏まえて劇中作を読ませるという、高度な構成力です。
現実世界の4人の関係も面白いですが、劇中作がファンタジーありの恋愛ありのSFありの、そのひとつひとつがまた魅力溢れる短編になっています。
もう一作、くらもちふさこから。本作は、彼女の作品の中でも特に大人っぽい一作です。
女王様キャラで人気絶頂歌手のようこ。彼女が芸能人になる時の条件は、マネージャーの不破くんと「結婚」すること。 もちろん2人の仲は、世間には絶対の秘密だ。態度は冷たいが誰よりもようこの魅力を認めている不破くんと、女王様キャラだけど子供っぽいようこ。ようこは不破くんが好きでたまらないが、不破くんの真意は?
通常ならありえないコンサートでの「3回アンコールに呼ばれる」が実現したら、2人の関係を公表すると宣言するようこに、不破くんは…。ドラマチックで完璧なラストシーン。
「はじめちゃんが一番!」は、ジャ〇ーズ事務所をモデルにした、アイドルになった男の子達とその姉を中心に繰り広げられるアットホームなコメディ。
主人公のはじめちゃんは、5つ子の弟達を持つ岡野家の家事担当・財政係。5つ子がアイドルデビューすることになり、はじめちゃんは、弟たちの付き人となる。貧乏庶民が入った芸能界の世界。魅力的な先輩たちと一緒に、岡野家の5つ子はトップアイドルの道を進んでいく。
安心して笑って泣ける、渡辺多恵子の長所がたくさんつまった作品です。キャラの作りこみや、泣けるエピソードの数々は、さすがの一言。ジャ〇ーズJrを連想させる登場人物たちや芸能界の裏事情など、なかなか興味深い話も多い。
普通の女子高生月子が、ある日、謎のモデルミズタマとしてデビューすることに。スポットライトの下で感じた、夢のような時間。月子はあっという間にトップモデルとなるが、その正体は秘密。ところが、月子が片思いしていた薫くんは、月子の正体に気づかず、ミズタマに恋をしてしまう。ミズタマじゃない時の自分は彼に全く意識されてないことに傷つく月子だが…。
シンデレラストーリーでありながら、もう一人の自分が恋のライバルになってしまった切なさがたまらない。華やかな舞台が、ひうらさとるのおしゃれな絵柄にぴったりです。
女優の叔母と2人暮らしの菜乃は、芸能界嫌いで自分は堅実に生きようする女子高生。一方友人のこずえは、芸能活動をしている。きつい性格の自分と違って優しく女らしく仕事にも真面目なこずえは、菜乃の自慢の親友だった。しかし、ひょんなことからこずえの想い人のアイドル・晴臣と交流を持つようになり、菜乃もこずえと同じオーディションに出ることになる。すると、優しかったこずえは一遍「あんたなんかには絶対負けない」「菜乃なんかあたしの踏み台にしてやるから!」と呪いの言葉を吐く。
いかにも一条ゆかりらしい、開き直った女のバトルが面白い。芸能界のドロドロというよりは、女同士のドロドロがメインな、いちおうりぼん連載作品です。
今回紹介している中では、一番現実の芸能界に近いのでは。現実の芸能界がどんな世界か知らんが。
弱小プロダクションに努める、敏腕マネージャーの山口依子。自分が育て上げた稼ぎ頭の俳優を他事務所に引き抜かれ、会社は倒産の危機。接待でいったキャバクラでルカという少女と出会い、水商売の匂いを感じない、彼女の自然体な美しさに惹かれた依子はその場でスカウト。彼女をスターにしようとする。
ぶっとんだ展開もなく決してサクセスストーリーでもはない。常にどこかしら不安定な美女ルカを中心に、大人の人間関係を描いています。自立した女性の生き方を真摯にみつめる槇村さとるならではの芸能界ストーリー。
国語が得意な平凡な女子高生・愛音は、ひょんなことから、超人気ビジュアル系ロックバンド・Λuciferのボーカル・大河内咲也の作詞をすることに。咲也と愛音の激しい愛の姿を描く。漫画は大ヒットしたが、過激すぎる性描写が世間を謁見した問題作。この作品以降、少コミは過激路線を加速させていく。
人気歌手に骨の髄まで愛される平凡な女子高生という、少女の願望を漫画にした作品。いろいろとトンデモ展開も多いが、多くの少女を夢中にさせた、90年代の少コミを代表する漫画です。
幼馴染の売れないロックミュージシャンの不破尚と同居して、バイトをしながら彼に献身的に尽くしていたキョーコ。ところが、尚が売れはじめると、キョーコは暴言を吐かれ一方的に別れを告げられる。捨てられたキョーコは復讐のために自らも芸能界に飛び込む!
昼メロが一本作れそうな設定だが、スキップ・ビートは元気で笑える、痛快なストーリー。実は、天才的な才能があったキョーコ。プラス彼女の前向きな情熱で、どんどん才能を伸ばしていく。売れない時代を支えてあげても売れたとたんに捨てられる…現実にそんな目にあった女性も少なからずいるのではないか、一女性としてキョーコの成功を応援したい。
「P.A」プライベートアクトレス。それは、現実世界で依頼人の要望に応じた役を演じる、プライベートの女優である。 例えば、恋人の「役」だったり友人の「役」だったり。細かい設定もつけてくる依頼人も多い。そんなちょっと変わった設定の本作は、榎本加奈子主演でドラマ化もされました。
主人公・志緒は、女子高生P.A。実は大女優の隠し子でもある彼女は、自身も天才的な女優。彼女が役を演じる時は、依頼人さえも驚く完璧さ。しかし偽物を演じる時点で、よんどころない事情があるのは当たり前。志緒はP.Aを通して人間の愛憎劇に巻き込まれていく。
やがてその才能から芸能界入りしますが、やはり前半のP.Aの時のサスペンス風味の方が面白い。